製品情報:Realinfo SCADA、時系列データベース
油温不足のまま原料投入——リアルタイム監視だけでは見えなかった原因を、時系列データと画面・イベント・映像から特定
1.現場で起きたこと
ある日本の食品加工工場では、揚げ物製品の製造ラインに自動化されたフライヤー設備を導入していました。通常、油温は170℃を設定値として管理し、所定温度に到達したことを確認してから原料を投入します。ところが、ある日の生産ロットで、完成品の衣がはがれやすい、食感が硬い、油っぽいなどの品質異常が発生しました。現場では一見すると設備は稼働しており、作業員も通常どおり作業していたため、原因をすぐに特定できませんでした。

図1 Realinfo SCADAの監視画面:油温・設備状態・カメラ映像・アラームを同一画面で確認
2.リアルタイム画面だけでは、原因が分からない
品質不良が判明した時点では、すでに製品はラインを通過しています。担当者が通常の監視画面やカメラ映像を確認しても、「その瞬間に何が起きていたか」を後から正確に追うことは容易ではありません。特に今回のように、設備パラメータの設定値が適切でなかったことが原因の場合、カメラには「原料が投入されている」という事実しか映らず、「その時点の油温が本当に170℃に達していたのか」「設定値と実測値にどの程度の差があったのか」「アラームがいつ発生したのか」といった情報を映像だけから判断することはできません。
3.ヒストリカルプレイバックで、事故発生時点まで巻き戻す
そこで担当者は、Realinfo SCADAの「ヒストリカルプレイバック」を起動し、品質異常が発生した時間帯を指定しました。過去のプロセス画面を再生すると、当時の油温、設定値、流量、モーター電流などの時系列データに加え、アラーム、操作イベント、カメラ映像を同じ時間軸で確認できます。

図2 ヒストリカルプレイバック画面:指定した時刻まで巻き戻し、プロセス・トレンド・アラーム・映像を同期再生
再生を14:20頃まで進めると、原因となった状況が明確になりました。油温の設定値は170℃だったにもかかわらず、実測値は142℃にとどまっていました。さらに、その状態で原料投入が行われ、その直後に油温低下アラームと「製品品質不良の可能性」のイベントが記録されていました。つまり、品質不良は単なる「揚げ上がりのばらつき」ではなく、「設定値と実測値が一致していない状態で原料が投入された」という工程上の出来事と時間的に結びついていたのです。
4.『設備故障』ではなく『設定ミス』まで追跡できた
さらにヒストリカルプレイバックでは、プロセスデータだけでなく操作履歴も同じ時間軸で確認できます。その結果、加熱設備や供給ポンプなどの設備自体は稼働していた一方、製造開始時のパラメータ設定が適切でなかったことが確認されました。従来の方法では、「設備が動いていた」「担当者はその場にいた」という断片的な情報から推測するしかありませんでした。ヒストリカルプレイバックでは、設定変更→油温推移→原料投入→アラーム→品質異常という一連の流れを再現できるため、原因調査を推測から事実ベースの分析へ変えることができます。
5.事故分析だけでなく、再発防止にも活用
原因が明確になった後は、同じ再生データを教育・改善にも利用できます。例えば、①原料投入前の油温確認を必須化する、②設定値と実測値の乖離に対するインターロックを追加する、③アラーム発生時の対応手順を見直す、④今回の事例を新人教育用の教材として保存する、といった改善につなげられます。重要なのは、単に「不良が発生した」という結果を記録するのではなく、「不良が発生するまでに、現場で何が起きていたか」を再現できることです。

図3 ヒストリカルプレイバックによる原因特定の流れ:品質異常から過去のプロセス・データ・映像を追跡
6.この事例で、ヒストリカルプレイバックが解決したこと
| 従来の調査 | ヒストリカルプレイバック |
| 完成品を見て原因を推測 | 異常発生時点まで時間を巻き戻して再現 |
| トレンド・ログ・映像を個別に確認 | プロセス画面・トレンド・アラーム・操作履歴・映像を同期確認 |
| 設備故障か操作ミスかを推測 | 設定値・実測値・操作イベントの時間関係から切り分け |
| 事故後の説明が断片的 | 「何が、いつ、どの状態で起きたか」を一連の流れで説明 |
| 再発防止策が経験則に依存 | 実際の発生事例を教育・SOP改善・インターロック検討に活用 |
まとめ|見えなかった「原因」を、時間軸から見える化する
食品加工工場では、品質不良の原因が必ずしもカメラに映るとは限りません。設備パラメータ、制御値、実測値、アラーム、操作履歴など、画面の裏側で起きている情報が原因を握っている場合があります。Realinfo SCADAのヒストリカルプレイバックは、こうした情報を過去の時間軸に沿って再現し、「何が起きたか」だけでなく「なぜ起きたか」を追究するための仕組みです。事故・品質異常の原因分析、責任の明確化、再発防止、教育まで、過去データを現場の改善に変えることができます。
Realinfo SCADA・時系列データベース|データで、未来をつくる。